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武田 匡樹; 石井 英一; 大野 宏和; 川手 訓*
原子力バックエンド研究(CD-ROM), 25(1), p.3 - 14, 2018/06
泥岩中における断層帯および掘削影響領域(EDZ)に発達する割れ目は、主要な水みちとして機能することがあるため、これらの構造における物質移行特性を評価することは、高レベル放射性廃棄物の地層処分における安全評価において重要である。しかし、泥岩中の割れ目を対象とした原位置トレーサー試験の適用事例は国内外含めて非常に少ない。そこで、日本原子力研究開発機構では、稚内層と呼ばれる珪質泥岩中の割れ目を対象に、非収着性であるウラニンを用いた原位置トレーサー試験を実施した。トレーサー試験の結果から、注水流量を揚水流量より大きくした場合に脱ガスの影響を低減することができる一方で、同様の条件ではトレーサー回収率が低くなったことから、本稿で報告したトレーサー試験においては、注水流量を揚水流量よりもやや高く設定することが適切な試験条件であることが分かった。ガスが溶存した地下水を含む岩盤を対象に注水および揚水を伴う原位置トレーサー試験を実施する際は、注水と揚水の流量比が(1)脱ガスの発生に与える影響、(2)トレーサー回収率に与える影響の双方を評価することが、脱ガスを抑制しつつトレーサー回収率を高めるための適切な試験条件を見出すことに有効である。
浅野 芳裕; 岸 紀行*; 森谷 隆広*; 三浦 雄太*; 井上 勝昌*
AIP Conference Proceedings 705, p.568 - 571, 2004/04
SPring-8のBL40XU高フラックスビームラインでは、実験ハッチにおける光子強度が10E15photons/s程度と非常に大きい。そのため、光子強度絶対測定によく用いられる自由空気電離箱等では高精度の絶対測定は非常に難しい。これまでは、蓄積リングの蓄積電流を最大時の1%程度にまで下げた状態で測定を行い、そのデータを蓄積電流値で外挿することによって光子強度を求めていた。しかし、BL40XUのように光学素子を通して放射光を取り出す場合には、光学素子に対する熱付加の影響等のために必ずしも蓄積電流値に放射光強度が比例するとは限らない。そのため、この方法では高精度の絶対測定は難しい。そこで、電離現象の替わりに発熱現象を検出原理とする熱量計を用いて、大強度放射光の光子強度絶対測定を行った。また、いままで行ってきた長時間照射方法に加えて、ms-数sオーダーの短時間照射による光子強度絶対測定が可能になれば測定レンジを飛躍的に広げることができ、BL40XUで得られる大強度ビームも直接絶対測定が可能になる。
浅野 芳裕; 岸 紀行*; 森谷 隆広*
AIP Conference Proceedings 705, p.564 - 567, 2004/00
放射光ビームの光子数絶対値を知ることができれば、放射光実験の精度を格段に向上させるだけでなく、ビーム強度を定量的に議論できることにより照射実験等への応用範囲を広げることができる可能性がある。従来、放射光ビーム強度の絶対測定には熱量計(1)や自由空気電離箱が用いられてきた。これらは数10keV以下の光子を対象としており、SPring-8で得られる100keV以上の高エネルギー光子に対して誤差が大きく、正確な値が得られていなかった。そこで200keV近辺の高エネルギー光子も正確に計測できるように金製の放射光ビーム吸収体を装備した熱量計を整備した。装着された金製放射光ビーム吸収体は200keVの光子エネルギーを98%以上吸収することができる。この熱量計を用いて174keV光子ビームの絶対強度を測定した。併せて、自由空気電離箱及びSi-PINフォトダイオードと比較測定を実施した。
中島 宏; 中根 佳弘; 坂本 幸夫; 浅野 芳裕; 田中 俊一; 伴 秀一*; 波戸 芳仁*; 平山 英夫*; 成山 展照*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 365, p.553 - 558, 1995/00
被引用回数:2 パーセンタイル:32.08(Instruments & Instrumentation)放射光の絶対強度を測定するために、以前我々は恒温槽型全吸収微小熱量計を開発した。今回は、数keVのエネルギー領域まで測定範囲を拡張することと、数Wの放射光強度測定に対応することを目的として、真空型全吸収微少熱量計を新たに開発した。この熱量計は、数10から数Wの熱量に対して0.1%の直線性を有している。単色及び白色放射光に対する熱量計の性能について実験的検証を行ったところ、8から40keVのエネルギー範囲で絶対精度として、3%以下であり、白色光において約2Wまでの放射光強度に対して測定可能であることが示された。
久保 博孝; 杉江 達夫; 嶋田 道也; 細金 延幸; 逆井 章; 辻 俊二; 伊丹 潔; 朝倉 伸幸; 清水 勝宏
Nuclear Fusion, 33(10), p.1427 - 1433, 1993/00
被引用回数:20 パーセンタイル:57.21(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uにおいて、絶対感度較正した真空紫外分光器を用いて、ダイバータプラズマ中の重水素および不純物のスペクトルを観測した。CII-IVおよびOIII-IVの電荷分布をスペクトル線強度から得た。炭素に対してはLi様イオンが、酸素に対してはBおよびBe様イオンが最も多く分布した。また、ダイバータプラズマからの放射損失を、分光測定結果から計算した。NB加熱(12MW)の放電では、放射損失に占める水素、炭素および酸素の割合はそれぞれ58%、39%、および34%であった。
西谷 健夫; 竹内 浩; 近藤 貴; 伊藤 孝雄*; 栗山 正明; 池田 裕二郎; 井口 哲夫*; Barnes, C. W.*
Review of Scientific Instruments, 63(11), p.5270 - 5278, 1992/11
被引用回数:76 パーセンタイル:97.13(Instruments & Instrumentation)重水素放電を行うトカマクにおいて、中性子発生量の絶対較正は、核融合出力、核融合利得などのプラズマ性能を評価する上で極めて重要である。JT-60Uでは、重水素運転に先立ち、Cf中性子源をJT-60真空容器内で移動させ、中性子モニターの出力とトーラス全体の中性子発生量との関係の絶対較正を行った。まず磁気軸上の92点において点線源に対する検出効率を測定し、それを平均することによってトーラス状線源に対する検出効率を求めた。Cf中性子源と実際のDDプラズマの中性子のエネルギーの違いによる誤差や、プラズマ形状の影響などは3次元モンテカルロコードによって評価し、最終的な、中性子発生量の測定誤差は11%となった。
西谷 健夫; 竹内 浩; Barnes, C. W.*; 井口 哲夫*; 長島 章; 近藤 貴; 逆井 章; 伊丹 潔; 飛田 健次; 永島 圭介; et al.
JAERI-M 91-176, 23 Pages, 1991/10
重水素放電を行うトカマクにおいて中性子発生量の絶対較正は核融合利得Qなどのプラズマ性能を評価する上で極めて重要である。大電流化JT-60(JT-60U)ではU,Uの核分裂計数管およびHe比例計数管で中性子発生量の測定を行うが、それに先立ち、Cf中性子源をJT-60Uの真空容器内で移動させて中性子検出器の絶対較正を行った。まず磁気軸上の92点において、点線源に対する検出効率を測定し、それを平均することによってトーラス状線源に対する検出効率を求めた。
中島 宏; 田中 俊一; 吉澤 道夫; 平山 英夫*; 伴 秀一*; 波戸 芳仁*; 成山 展照*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 310, p.696 - 702, 1991/00
被引用回数:14 パーセンタイル:80.06(Instruments & Instrumentation)10~70keVの単色放射光用絶対強度モニターとして、全吸収型双子型伝導微少熱量計を開発した。この熱量計は1mW以上の熱量(10keV単色X線で約610photons/secの強度に相当する。)を1%以下の精度で測定する事が可能である。現在最大測定可能熱量は増幅器の測定範囲が最大0.5mVである事から、3.8mWに限られているが、これを替える事により最大測定可能熱量を容易に2~3桁上げる事が可能である。この熱量計の放射光に対する適応性を、高エネルギー物理学研究所放射光施設において10~50keVの単色X線を用いて検討した。エネルギー、X線強度、ビームサイズ等を変え、様々な条件で測定した結果、壁無空気電離箱による相対モニター値に対し、2.5910の分散で再現する事が示された。
高村 三郎; 小桧山 守*
日本金属学会会報, 29(6), p.422 - 429, 1990/06
低温で中性子照射したAl、Cu、Ag合金について内部摩擦、弾性率測定を行い、外国で行われた内部摩擦、超音波吸収実験と比較した。また複合体の構造計算と比較して、溶質原子の大きさが溶媒原子より大きい場合と小さい場合に別けて調べ、Al合金ではアンダーサイズの溶質原子の時にはミックスダンベル型、オーバーサイズでは単一格子間原子-溶質原子複合体をもつと考えた。Cu,Ag合金では、複雑な複合体構造をもつと考えた。
中島 宏; 田中 俊一; 吉澤 道夫; 平山 英夫*; 伴 秀一*; 成山 展照*
Proceedings of 2nd International Symposium on Advanced Nuclear Energy Research; Evolution by Accelerators, p.581 - 585, 1990/00
最近様々な研究分野で注目されている放射光についてその定量的な測定を目的として、放射光線量測定技術の開発とその応用としてファントム内での線量分布測定が高エネルギー物理学研究所放射光施設を用いて行われている。先ず、放射光線量の絶対基準及びモニターとして、カロリーメーターと壁無電離箱が開発され、その適用性が示された。次に、積分型線量計として、TLD及びアラニン線量計の放射光における特性が調べられ、10~10Gyにわたる線量の測定が可能である事が示された。さらに各種の線量計の適応性が調査中である。また、ファントム内の線量分布測定が行われ、電磁カスケードモンテカルロコードEGS4による計算結果と比較したところ、良好な一致が見られ、このコードシステムの有効性が示された。
高村 三郎; 有賀 武夫; 小桧山 守*; 仲田 清智*
Journal of Physics; Condensed Matter, 1, p.4519 - 4526, 1989/00
被引用回数:2 パーセンタイル:16.71(Physics, Condensed Matter)分子動力学計算によって、照射によって生成した格子間原子と溶質原子の原子サイズが溶媒原子のそれより大きいオーバーサイズの溶質原子との複合体について調べた。原子間ポテンシャルとして、よく使われるモースポテンシャルを用いたが、複合体の構造はAl合金の内部摩擦実験結果とは不一致であった。原子間ポテンシャルをいくつか変えて計算を進め、実験結果と符合する構造を求めることが出来た。
高村 三郎; 有賀 武夫; 小桧山 守*; 仲田 清智*
Journal of Physics; Condensed Matter, 1, p.4527 - 4533, 1989/00
被引用回数:3 パーセンタイル:23.72(Physics, Condensed Matter)分子動力学計算によって、照射によって生成した格子間原子と溶質原子の複合体の構造や結合エネルギーについて調べた。溶質原子の原子サイズが溶媒原子のそれより小さいアンダーサイズの時には、複合体の構造は混合亜鈴型になる。溶質原子の原子サイズを小さくすると結合エネルギーは大きくなり安定になる。原子サイズと結合エネルギーとの関連や移動過程について議論した。
浅野 芳裕; 吉田 真
保健物理, 19, p.341 - 347, 1984/00
中性子測定器の精度を維持するためには、国家標準とトレーサビリティを確保した標準中性子場を整備することが必要である。日本原子力研究所では、黒鉛パイルを用いて放射線防護機器と日常校正するための標準熱中性子場を作製した。この熱中性子場は比較的大きな等方照射場と平行ビーム状照射場を持つ。熱中性子フルエンス率の測定は、金箔誘導放射能の絶対測定を用いて行なった。この結果、測定誤差が2%以内の校正用熱中性子照射場を得た。電総研と金箔誘導放射能の絶対測定を通じて、熱中性子フルエンス率を比較測定し校正用熱中性子場のトレーサビリティを確保した。この結果、2%以内の誤差で国家標準を移行できることがわかった。
前川 洋; 池田 裕二郎; 大山 幸夫; 山口 誠哉; 中村 知夫
JAERI-M 83-219, 28 Pages, 1983/12
強力なD-T中性子源であるFNS(核融合炉物理用中性子源)が日本原子力研究所に設置された。核融合炉ニュートロニクスの研究において、絶対中性子発生量の測定は本質的である。T(d、n)He反応で生成する中性子の絶対発生量を決定する手段として、随伴粒子法が最も適当である。FNSの80ビームラインにシリコン半導体検出器を用いたモニタを主モニタとして取付けた。また、ロングカウンタおよびTh核分裂計数管を補助モニタとして設置した。D-Heとd-D反応の寄与を取除く方法を開発した。最良の条件において、d-T中性子の絶対発生量を2%以下の精度で算定できた。同じ実験期間中では、補助モニタとモニタとの計数の比は統計誤差の範囲で安定であった。
馬場 澄子; 市川 進一; 関根 俊明; 石川 勇; 馬場 宏
Nuclear Instruments and Methods, 203, p.273 - 280, 1982/00
4-スペクトロスコピー同時計算法によるEuの絶対測定法を確立した。絶対測定法として、4計算管とGe(Li)検出器とを組合せ、検出器からの出力パルスとコインシデンスする線スペクトルを測定し、着目する線毎にその強度を求め、それとシングルの線スペクトル中の対応する線強度との比から線検出器の各線、内部転換電子及びオージエ電子に対する実効計数効率を求める方法を考案した。最初に、この絶対測定法を検証するために、Co線源を用いて3種類の絶対測定法を併せ試み、相互に良く一致する結果が得られることを確かめた。次いで、Eu濃縮ターゲットの原子炉照射によって製作したEu線源について、4-スペクトロスコピー同時計数法を適用し、得られた結果をLMRI製Eu標準線源を用いる線スペクトロメトリの結果と比較した。両者は約1%の範囲内で一致した。
松延 広幸*; 神田 幸則*; 川合 将義*; 村田 徹*; 菊池 康之
Proc.Int.Conf.Nucl.Cross Section for Technol., p.715 - 719, 1980/00
JENDL-2のために、U、U、Pu、Pu、Puの核データを、最近の実験データと理論計算によって同時評価をした。光学模型パラメータは、これら重核の全断面積を系統的に再現するよう求めた。
前川 洋; 大山 幸夫; 草野 譲一; 中村 知夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 16(5), p.377 - 379, 1979/00
被引用回数:11原研の核融合実験炉(JXFR)の概念設計で酸化リチウム(LiO)がブランケット材に採用されており、核設計の立場からその模擬実験が要求されていた。そのため、LiOブロックをコールドプレス法により製作した。LiOの密度は理論密度の70%に達し、同じ大きさのLiブロックに比べてLi原子の密度は33.8%増加した。このLiOブロックと黒鉛ブロックで、黒鉛反射体付き酸化リチウム(LiO-C)体系を組んだ。各領域の実効外半径は中心ボイド 3.3cm、LiO 22.4cm、黒鉛 46.8cmである。小型の核分裂計数管を用いて、LiO-C体系中のTh,U,Np,Uの核分裂分布を絶対値で測定した。実験結果はENDF/B-IVの核データからNJOYコードにより100群の断面積セットを作成し、1次元輸送計算コードANISNで解析した。
五藤 博; 八木 秀之; 原山 泰雄
Nuclear Instruments and Methods, 109(2), p.349 - 353, 1973/02
有限厚さのラジエータをもつ半導体陽子反跳カウンタの平行中性子ビームに対する応答関数の計算公式が初等関数を被積分関数とする1重積分の形で表わされている。応答関数の数値例も与えられている。
鈴木 秀次
Journal of the Physical Society of Japan, 17(2), p.322 - 325, 1962/00
被引用回数:220抄録なし
Zhang, Y.*; 梅田 岳昌*; 諸岡 聡; 宮本 吾郎*; 古原 忠*
no journal, ,
Essential understanding of the pearlite growth kinetics is of great significance to predict the lamellar spacing and the resultant mechanical properties of pearlitic steels. In this study, a series of eutectoid steels with Mn addition up to 2mass% were isothermally transformed at a temperature range from 873K to 973K to investigate the growth kinetics and the underlying thermodynamics at the migrating interface during pearlite transformation. The microscopic observation revealed that the pearlite growth rate in each alloy becomes increased while the lamellar spacing becomes decreased by lowering the transformation temperature. Mn addition decelerates the growth rate, accompanied by a relatively wider lamellar spacing at each temperature. After analyzing the element distribution in the vicinity of migrating austenite/pearlite interface via three-dimensional atom probe, Mn was found to be enriched at the austenite/pearlitic ferrite interface, whereas the Mn partitioning among the three phases is negligibly small in the 2mass% Mn added alloy isothermally transformed at 873K. Based on the estimation of energy dissipated by various factors, the driving force for pearlite transformation in the Mn-free alloy was found to be consumed by interface friction, carbon partitioning and ferrite/cementite interfacial energy, whereas neutron diffraction analysis indicated that the influence of transformation strain is relatively small. The retardation effects of pearlite growth kinetics in the Mn-added alloy, which is partly due to the reduced driving force for pearlite transformation, can be well explained by further considering the energy dissipation caused by solute drag effects of Mn.